2025年12月13日

ピアノを習い始めた生徒さんに教えなければならないこと 楽典的要素②

あっという間に12月もあと半分近く。大掃除も始めなくてはですが。。。

さて楽典的要素②、拍子です。
何だ、そんなことか、と仰る方は当然いらっしゃるでしょう。拍子はその曲の性格を決める大事な要素。拍子によって弾き方が全く違います。それをきちんと出来るようにするには拍子の内容とどういう時に使われることが多いか、子供ですから大まかで構わないと思います、を教えなくてはいけません。

まず拍子による曲の分類。
拍子を大まかに分けると2拍子または4拍子系と3拍子系になります。
そのうちの3拍子はワルツやメヌエットに代表される舞踊です。もちろん2拍子・4拍子系にも舞踊はあります。ただそれはかなり後の曲、例えばバッハの組曲、にならないと出てきません。が、バッハのアンナ・マグダレーナの音楽帳を弾かせる場合には一部フランス組曲からの抜粋が含まれているので教えなければならないかもしれません。そしてそれは日本人の私たちにとっては非常に難しい問題です。なので子供の場合は踊りの曲ってどういう感じがする?というような感じで教え始めています。どういう場面かな、どういう衣装かな等々。子供はディズニーが好きですからある意味ピンとくるものがあるようです。
その対極の2拍子・4拍子は舞曲以外の曲で使われますから、それぞれの雰囲気に合ったように説明します。それこそ3拍子系よりも使われる幅が広いですから、曲の分類は難しいです。

もう1つが拍子の意味と性格です。2拍子・4拍子で難しいのはこの拍子の意味、性格の方だと思います。
拍子の意味ですが大切なのは2つの数字が示すもの。これをきちんと教えてないといけないのですが、本当に理解をさせるのは正直小学生にならないと難しいと思います。これを割り算が出来ないからと捉える方が多いのですが、ズバリ日本語がなかなか通じない、というところです。何しろ4幼稚園生と小学生では言葉のキャパシティーが全く違います。ですので理解が出来ない、という感じですね。
だからと言って適当に教えてはいけないです。いまだに4分の4拍子は1小節に4分音符が4個、8分の6拍子は8分音符が6個、と教える先生がいらっしゃるみたいです。現に私のところに移ってきた生徒さんでこの問題と正確に理解している子供は皆無でした。大体たこの4個・6個になってます。
正直4分音符が1小節に4個というのは2分の2拍子でもそうですし、8分音符が6個というのは4分の3拍子がそうです。実際生徒にこの問題とこの説明をしますと混乱をします。だってそう習ったんだもの、です。
上の数字は1小節に入る拍数、下の数字は1拍となる音符の種類、これをきちんと教えていない先生がとても多いです。『幼稚園児に難しいことを言っても分からない』という大前提で教えて行くとこうなります。でも本当に分からないのでしょうか?私はそうは思いません。全部を1度にではなく分けて教えて行けば少しずつでも分かるようになります。例えば上の数字が4であれば1小節に拍が4個入るのよ、3であれば3個入るのよ、という具合に。ならば5だったらどうなる?と聞けば普通に5個と答えます。これを習慣化しかつリズムと拍の関係も同時に教えていけばいつの間にか覚えてくれます。そうしておいてある時期に下の数字は実はね、と話せばほぼ理解できます。何も4分音符、8分音符という言葉を使わなくてもよいのです。私の教室ではリズムに名前を付けていますから、4というのは〇〇のこと、8というのは○○(○○には名前が入ります)と教え、それを覚えるように宿題にして常に復習するようにしています。
ではなぜここまで丁寧に順を踏んで教えて行くかと言いますと8分の6拍子の曲を勉強する場合非常に困るからです。
8分の6拍子、つまり8分のの系列の拍子ですが、は日本人から最もかけ離れている拍子です。ですのでとても習得しづらい。しかも6拍子ではなく2拍子で考える、8分の3拍子に至っては1拍子で考えるというかなりハードルの高い拍子となってます。しかしピアノを習っていますとかなりの確率で導入書にこの拍子たちが出てきます。教えなくてはいけない要素ですがそれを上手に教えなくてはいけないわけです。ここでつまずくとその後の小曲やソナチネに入ってから困るんですね。
先生が悩むのであればこの部分だけ。これをいかにして伝えるか。マニュアルはありませんから先生方個人個人の手腕になります。
幸い私のところではこの拍子たちが出てくるたびに導入書に戻って説明を必ずするのでだんだんと身についてくれるようです。
同様に2分の2の拍子も難しいです。これは教える側がきちんと分かって弾けないと教えられません。有名なクテメンティOp.36-1のソナチネをきちんと2拍子で聞こえるように弾かないと生徒は4拍子で弾いてしまいます。そしてなぜ同じ2拍子なのに4分のと2分のがあるのか、同様に3拍子なのに4分のと8分のがあるのか。これも弾いて違いを聴かせてあげないといけないです。

私も教える立場になる前は意外と簡単に考えており、教える時にであって弾く時はかなり考えます、実際子供を前にして改めて難しさを感じました。決しておろそかにしてはいけない要素であり、要は先生も常に勉強が必要な要素でもあると思います。

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posted by Kemeko at 01:01| Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年12月10日

久末航ピアノリサイタル

演奏会へ行くぞ!第7弾。

今年のエリザベート王妃国際コンクールにて第2位になられた久末航さんのリサイタルに行ってきました。

エリザベートの時からYouTubeにて聴いていました久末さん。同じく受けていた中川さん同様ファンになってしまいました。何より音が綺麗、弾き方が綺麗、音楽が素晴らしい。そして何より自然。コンクールだというのにです。
そして今回凱旋コンサートということでリサイタル。場所はサントリーホール。なんでも久末さんはサントリーホールに来たことが今まで1回もなかったそうで。最初が自分で弾くリサイタルになるとはとコメントが出ていました。最初のうちはそれほどではなかったのですが、久末さんの投稿でチケットが完売。関係者席を開放するという事態になったそうです。

この日の曲目は

ラヴェル::高雅で感傷的なワルツ
デュサパン: ピアノのためのエチュードより 第2番
リスト:巡礼の年 第1年「スイス」S.160より 第4曲「泉のほとりで」
                      第5曲「嵐」
                      第9曲「ジュネーヴの鐘」
リスト:ウィーンの夜会より 第6番

バルトーク:3つのブルレスク 作品8c 第1曲「けんか」
                  第2曲「ほろ酔い」
                  第3曲 モルト・ヴィーヴォ、
                     カプリチオーソ
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番 へ短調 作品57 「熱情」

エリザベート王妃国際コンクールはその課題の多さと内容から、おそらく3大コンクールと言われている中で最も過酷なコンクールだと思っています。私なんて最初課題を聞いただけでひっくり返りましたもの。ファイナルのチャペル缶詰だけでも大変なのに、用意するプログラムが1次2次ともに2つずつ。その中でどれを弾くかは審査員次第。しかもそれが分かるのがほぼ前日。。。それから考えても上位入賞者は本当に実力のある方々だと思います。

そんな上位入賞者である久末さん。ネットでの演奏と生では違う、というのは当たり前なので実際どういう音でどういう演奏になるのか本当に楽しみでした。
そしてそれは私にとってドンピシャの演奏。近年自分を誇示し派手な、あるいは大げさな解釈の演奏が多いと感じる中、久末さんの音楽は本当に自然。そしてそれを支えているのが確かなテクニックと豊富な音色。これだけ時代も出身国も違う作曲家の曲を並べて、どれ1つとっても同じ音色がない。それぞれに合うであろう音で弾き分けている。演奏家にとって最も難しく、そして最も必要とされている演奏を見事なさってました。それをごく普通に淡々と。これが当たり前ですよね~という感じ。
参った!脱帽!でもってこういう演奏家がついに若手から出てきた~~~という嬉しさ。

でもこれって最も難しい音楽家としての道だと思います。自分がというところがない、あくまでも作曲家優先。誰しも憧れますが、どうしても自我が強く出てしまいます。私も経験がありますが。
それを迷うことなく自分の音楽として表現の道として進む久末さんってとっても素敵です!
そしてコンクールに支配されつつある日本育ちの若手演奏家たちには是非こういう音楽を学んでほしいと思います。

アンコールは3曲。
シベリウス:ピアノのための小品 Op.76-10 Elegiaco
リスト:超絶技巧練習曲より 第12番「雪かき」
ブラームス:ワルツ Op.39-15

最後のワルツを聴いた時、この人はドイツなんだな~と。あのしっとりとした音、柔らかい音楽。ドイツの自然を見ているような美しさ。
ベートヴェンを最後に弾いたことからしても現在ドイツに住んでいらしてドイツに溶け込んでいる感じがしました。そして最後の最後に心休まるブラームスを聴かせてくれたこと、幸せでした。

次回は来年の都響と新日。特にと今日はブラームスの1番のコンチェルトということですから今から楽しみ(2番が素晴らしかったですから)。



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posted by Kemeko at 20:09| Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年12月01日

ピアノを習い始めた生徒さんに教えなければならないこと 楽典的要素①

12月です。あっという間に年末。明日は楽しみなコンサート♪

さて『ピアノを習い始めた生徒さんに教えなければならないこと』ですが今回は楽典的要素です。
楽典、といいますととても難しいことのように感じられますが、学問的なものではなく弾くために必要な要素となります。
それには大きく2つの要素があります(と思います、他にもありましたらコメントを)。
今回はそのうちの1つ目、調性・調号の理解です。

調性と調号は大人の私たちにとってはそれほど難しいものではりません。覚えてしまえばそれまでです。またなぜそういうことが起きるのか、長調・短調の音階の仕組みというところまで教えるとなると専門的になりますが、習い始めの生徒さんにとってはその点についてはまだ教える必要はないと思います。
では何が必要かといいますと、まずは長調か短調かということ。これは耳での聴き分けになります。そしてこのどちらかであるかを分かるようになりませんと、今弾いている曲の曲調を考えること、知ること、感じるが出来ず、結果的にみんな同じに弾くようになってしまいます。楽しい時は、悲しい時は、怒っている時は、笑っている時は、というような普通の人間の感情からどういう感じかなと生徒たちに考えることを学ばせます。そしてそこからこの曲はどういう風なのかなと結論を自分たちで探せることが基礎の段階でとても大切になります。子供だから感情は難しい、と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし子供は子供なりの感情を持っています。そのレベルで良いので、考えるということが大切だと思っています。
そして次に大切なのが調号です。もちろんなぜそれが必要なのかということはもっと大きくなってからで問題はありません。ただ調号が音部記号の隣にあり、それがある時は楽譜の中の該当音についてはきちんとシャープやフラットを付けて弾くということ、それを根気よく教え見忘れることのないようにいしていくのがこの年代にとても必要です。それは言い換えれば、音部記号→調号→拍子記号と順番にきちんと見るということに繋がります。これをおろそかにしますと大きくなってからレッスンの際、調号を見ているの、気が付いているの、調号落としはダメでしょ、という注意が頻繁に言われるようになります。
そんなこと教えないなんてことがあるのか?と思われる先生も多いと思います。が、私の経験上小1、2年生の生徒さんだけではなく高学年でも教えてもらっていないという生徒さんが多くいました。ある生徒のレッスンの際普通に調号は何?と質問をすると目がキョトンとなって答えられず、お母様の方から調号ということは聞いたことがありません、習っていません、という話になります。それから私が先に確認をするようにしているのですが、悲しいかな知っている生徒さんは半数以下でした。

本当に意味での調整と調号の勉強は音階を弾くようになってからになります。しかし主音が曖昧でも調号があればそれをきちんとつけて弾くということは、習い始めの生徒さんたちにもしっかり教えることは出来ます。難しく考えすぎないのも教育ではないでしょうか。

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posted by Kemeko at 23:21| Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする